2012年05月17日

Midnight Special

collins1.jpg目立たないけど素晴らしいブルースマンシリーズ、第10回にしていよいよ最終回。
最後はおどろおどろしいスライドと軽やかな歌声のギャップがなんとも魅力的なCrying Sam Collinsを紹介します。


1887年8月ルイジアナで生まれ、ミシシッピ州のマッコムという町で育った彼の幼少時代についてはあまり記録や証言が残っていませんが、1924年迄には週末のバレルハウスで演奏するようになっていたそうです。
1927年9月、Gennettというレーベル用に最初のレコーディングを行っていて、その際には"Yellow Dog Blues"を吹き込んでいます。更に12月にはスピリチュアルを中心に2日間セッション録音をしたそうですが、これは残念ながら未発売のまま音源が見つかっていません。
1931年10月にニューヨークで行ったのが最後の録音となり、その後はミシシッピからの移住の波に乗って1930年代後半にはシカゴへ移り住み、1949年に心臓系の病気でひっそりと亡くなっています。
ハンサムで、肌の色は明るめだったそうです。


録音を聴くと分かりますが、まずギターのチューニングがかなりずれているし、ファルセットボイスは聴きようによってはなんとも間抜けに聴こえるし、B級臭がプンプンします。歌もギターもキレキレなCharley PattonやSon Houseと比べるとやはり劣るかもしれません。
が、歌声に反して彼の弾くスライドギターの音色はどこまでも重く、Blind Willie Johnsonを彷彿とさせるほど。軽やかな歌と重々しいスライドのカウンターメロディの対比がとても面白く、胸を打ちます。
特に"Slow Mama Slow"でのスライドの音色は飛び抜けて狂気的。
また、トラディショナルな歌詞と自分の歌詞を意識的に混ぜて歌うことが多かったという部分も珍しい点かなと。これはダニースミスでも少しやってるので大変共感出来るというか、嬉しいところです。


ちなみに有名なトラッド"Midnight Special"を黒人で初めて録音したのはLeadbellyではなく、この人です。
Skip James、Mississippi John Hurt辺りの高音ボイス好きの方には間違いなくストライクだと思います。
例によってDocumentやYazooからCDも出ているので、是非聴いてみて下さい。


とりあえず本シリーズはこれでおしまい。
個人的にまた戦前ブルース熱が高まってしまった。
次は何の特集をやろうかしら。
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2012年01月26日

Yellow Bee

6045504729_00984f8b02_m.jpg年1回ペースになっていますが、目立たないけど素晴らしいブルースマン第9回はBertha Leeを紹介します。
言わずと知れたCharley Pattonの奥様。


若い時の記録はあまり残っていないようですが、彼女が偉大な旦那と出会ったのが1930年。
それから彼が亡くなる1934年迄の間妻として寄り添っていたようです。
しかしそれだけでは飽き足らず旦那の録音に2ndボーカルとして参加し(1934年Vocalion録音で、Oh Death等を一緒に歌っています)、遂には死ぬ直前の御大にギターを弾かせて"Yellow Bee"や"Mind Reader Blues"といった曲まで録音してしまいました。

Yellow Beeなんかは良い曲ですが、Memphis Minnieが1930〜32年の間頻繁に録音していた"Bumble Bee"という曲と似ているので、おそらくこれを参考にしたと思われます。
なんともひなびた雰囲気のボーカルは時折無性に聴きたくなる。伴奏や合いの手に徹しているPattonのギターもとても良い。彼女の録音はこの頃のものしか残っていないようですが、聴く価値は音楽的にも歴史的にも大です。
御大と女性の録音といえば1930年ParamauntセッションでのLouise Johnsonとのデュオも有名だしとても良いが、Bertha Leeとの録音にはそれとは違う良さがある気がします。

ちなみにPattonの有名な首の傷は、Bertha Leeと少しの間Clevelandに住んでいた時につけられたものだそうですね。その後1933年にHolly Ridgeという所に引越し、その頃から二人で演奏するようになったが、程なくしてPattonが亡くなってしまったそうです。


あと1話でようやく10回か…。

(Back Number)
・第1回…Tommy McClennan
・第2回…Tarheel Slim
・第3回…Chico Banks
・第4回…Joseph Spence
・第5回…One String Sam
・第6回…Frank Frost
・第7回…Washington Phillips
・第8回…Walter Davis
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2011年01月22日

M & O Blues

WalterDavis.jpg1年振りとなってしまった、目立たないけど素晴らしいブルースマン第8回は、ピアニストWalter Davisを紹介します。


1912年にミシシッピで生まれ、13歳でセントルイスに移住し、Henry Townsend等と共演していたところをRoosevelt Sykesに見出され、1930年に"M & O Blues"を録音します。
この時は初吹き込みで緊張のあまりピアノが弾けず、代わりにRoosevelt Sykesが弾いたというエピソードも。歌はなんとか歌えたそうですが、当時18歳とは思えない老け気味な声はある意味凄い。
その後も、主に戦前活躍し、フォーク・ブルースのリバイバル真っ只中だった1963年にひっそりと亡くなったそうです。
ちなみにジャズのWalter Davis Jr.とは全くの別人。


ブギ等はあまり弾かず、スローブルースで本領を発揮するスタイル。
特にサブドミナントがほぼ必ずマイナーコードになっていて、なんとも不気味な雰囲気が醸し出されており病みつきになります。
速めのテンポのものだと"I Can Tell By The Way You Smell"辺りはおどろおどろしい感じが最高です。
P-Vineから良い編集盤が出ているので是非聴いてみて下さい。


ここまできたら第10回まではのんびり続けていこうと思います笑。


(Back Number)
・第1回…Tommy McClennan
・第2回…Tarheel Slim
・第3回…Chico Banks
・第4回…Joseph Spence
・第5回…One String Sam
・第6回…Frank Frost
・第7回…Washington Phillips
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2010年01月26日

I Am Born To Preach The Gospel

wp50.jpg目立たないけど素晴らしいブルースマン第7回は、全くブルースマンではありませんがあまりに素晴らしいので例外的にゴスペルシンガーWashington Phillipsを紹介します。


1880年にテキサスで生まれ、暫くは兄弟と共にストリングバンドを組んで地元で演奏していました。時折なんとBlind Lemon Jeffersonと演奏することもあったようです。
そして1927年、彼が47歳の時にダラスで初の録音をするのですが、その際彼は二つの楽器を小脇に抱えて来スタジオにやって来ました。
その楽器がドルセオラという鍵盤楽器であるという説やらフレットレスのチターであるという説やら色々あるのですがそれはともかく、彼はそこで自身の楽器を使い16曲の録音を行います。
しかしFrank Walkerという録音に立ち会ったディレクターが彼の音楽を好まず、以降彼がレコーディングの機会に恵まれることは生涯ありませんでした。
晩年は自らの牧場を営みながら、1954年地元テキサスで静かに亡くなったそうです。


Yazooから出ている"The Key To The Kingdom"(Yazoo 2073)というアルバムで彼の録音を全て聴くことが出来ます。
恐らくチターと思われる楽器で優しい音色を奏でながら神への忠誠を朴訥と歌うその様は他のゴスペル音楽とは一線を画するもので、初めて聴いた時にゴスペルとはこういう表出方法もあるのかと驚愕し感動した覚えがあります。
耳触りは非常に良いのですが変に洗練されているわけでもなく、ブルースとはまた違った泥臭さがあるのも魅力ですね。


廃盤にはなっていないようなので、もし何処かで見つけたら是非聴いてみて下さい!

(Back Number)
・第1回…Tommy McClennan
・第2回…Tarheel Slim
・第3回…Chico Banks
・第4回…Joseph Spence
・第5回…One String Sam
・第6回…Frank Frost
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2009年11月17日

Big Boss Man

plp1975.jpg目立たないけど素晴らしいブルースマン第6回は、何ともいなたいボーカルとハープが最高なFrank Frostを紹介します。


1936年にアーカンソー州で生まれ、当初はピアノを弾いていたそうですが、15歳の時にセントルイスでギタリストとしての活動をスタート。
その際にジミー・リードスタイルのハープを習得し、自らもギターを弾きながらハープを吹くというスタイルに移行していきます。
セントルイスで知り合った盟友Sam Carrと共にミシシッピ州へ活動拠点を移したFrankは、Sam PhillipsのInternational Corporationへ数枚の録音を残します。その中の1枚が名盤"Hey Boss Man!"なのですが、それ以降は目立った録音もなく、デルタ地方で地道な活動を続けていたそうです。


僕も上記の1枚しか聴いたことがないのですが、アーバンなスタイルの中にもデルタっぽさが感じられるハープやボーカルが独特の味わいを醸し出しており、聴いていて非常に心地良い。
個人的にはドラマーSam Carrのレガートも最高です。
ジミー・リードやサニーボーイ辺りが好きな方は必聴ですよ!


(Back Number)
・第1回…Tommy McClennan
・第2回…Tarheel Slim
・第3回…Chico Banks
・第4回…Joseph Spence
・第5回…One String Sam
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2009年10月31日

I Got To Go

533629454_dc6f29bd53.jpg目立たないけど素晴らしいブルースマン第5回は、知る人ぞ知るデトロイトのOne String Samを紹介します。


1950年代半ばにJVBという零細レーベルに2曲録音を残したこと以外詳しい記録が残っていない幻のブルースマンです。
自らが作った1弦のDiddley Bowという楽器を演奏し、気の向くままひたすらルーズに歌う独特のスタイルは、1度聴いたら虜になります。
生涯無名だった彼ですが、1973年にはAnn Arbor Blues & Jazz Festivalに出演し、フェスのハイライトになったそうです。
フェスのオーガナイザーJohn Sinclairは、「…実際に、ワン・ストリング・サムはフェスに出演したアーティストの中で一番の賞賛を楽しみ、その週末中、スターだった。会場の中を歩きまわると、その刺激的なアートと快活な人柄を楽しもうとする若き音楽愛好家たちの人垣にあちこちで囲まれた。」と当時を回想しています。
その後も彼はデトロイトの通りで細々と演奏していましたが、どこへともなく消えていったそうです。


Ann Arborのライブ音源も含め、録音は全てP-Vine盤で手に入ります。
いずれのテイクもプリミティブなブルースを楽しむことが出来るので、店先で見かけたら是非聴いてみて下さい。

(Back Number)
・第1回…Tommy McClennan
・第2回…Tarheel Slim
・第3回…Chico Banks
・第4回…Joseph Spence
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2009年10月06日

Be A Friend To Jesus

portada.jpg目立たないけど素晴らしいブルースマンシリーズの第4回目は、南国バハマのギタリストJoseph Spenceを紹介します。


1910年にバハマで生まれ、Folkwaysから現地録音のレコードが出たことで世に知られるようになり、Ry CooderやOlu Daraに影響を与えた等のエピソードが有名なギタリスト。ゴスペルを演奏することが殆どなので、ブルースマンとは言えないかもしれません。
泥酔しているとしか思えない雰囲気でフガフガいい加減な歌を歌いながらギターを爪弾くのですが、全ての音が異様なほど明るく牧歌的で、聴き手を無条件で幸せな気分にさせてくれます。ジョンリーやライトニン等のドロドロなブルースとは対極にある音楽ですね。
Joseph本人も友人を大切にする温厚で律儀な人だったそうです。

録音も比較的手に入りやすいと思いますが、個人的には右のアーフーリー盤が好きです。


ちなみに第1〜3回のリンクも貼っておきますので、暇な方はご覧下さい笑

※第1回…Tommy McClennan
※第2回…Tarheel Slim
※第3回…Chico Banks
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2009年09月07日

You Don't Have To Go

copy.jpg目立たないけど素晴らしいブルースマンシリーズ第三回は、いきなり現代のギタリストからChico Banksを紹介します。


彼を初めて知ったのは、大学時代にシカゴへ行ってライブを見た時でした。
「B.L.U.E.S」という有名なバーで二晩程見ましたが、とにかく上手い!
派手で閃きに富んだソロには聴衆を常に高揚させるものがあったし、一転控えめながらも確実なバッキングにはプレイヤーを妙に安心させるものがありました。
そしてなにより、Charlie LoveやJohn Primerという先輩ミュージシャン達からとても可愛がられており、シーンが立派に回っていることを体現している人だなあとしみじみしたのを覚えています。
シカゴ以外ではあまり知られていない存在なのかCDはあまり出ていませんが、特にジミヘンやBuddy Guyが好きな方にはお勧めのギタリストです。


彼が去年の12月に47歳という若さで亡くなったという話を耳にしたとき、ふとB.L.U.E.SでChicoが弾いていたYou Don't Have To Goが頭をよぎったのを覚えています。
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2009年08月18日

I Have Found No Friend

tarheel.jpgヒマなので、あまり目立たないけど素晴らしいブルースマンが早くも第2回です。
ブルースマンと呼べるか微妙ですが、今日はTarheel Slimを。


1924年にニューヨークで生まれ、50年代にThe LarksやLoversというグループで活躍した才人です。
Otis RushやRy Cooderのカバーでお馴染みの"Natural Ball"は、元はと言えばこの人のグループの曲。
基本的に上記のアーバンな印象が世間では強いらしく、僕はその頃の音源はまだ聴いていないのですが、Gothamレーベルに数曲ほどカントリー調の録音が残されており、それが秀逸なのです。
録音は1949年、彼がR&Bグループで活躍する以前のもの、自身のギターでラグスタイルやゴスペルを披露しており、その懐の広さには恐れ入るばかり。
朴訥としたボーカルもまた雰囲気が出ていてしみじみ良く、Blind Boy FullerやCarolina Slim辺りが好きな人には特にお勧めです。
Gotham録音は、昨日も少し触れたDan Pickettとのカップリング盤(P-Vine盤)で聴けますよ。


飛び抜けて上手いわけでも印象深いわけでもないですが、時折無性に聴きたくなるブルースマンです。
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2009年08月17日

Roll Me, Baby

411806.jpgメジャーではないが素晴らしいブルースマンが星の数ほどいるので、知ったかぶって時折紹介していこうと思い立ちました。
第1回はTommy McClennanです。


1908年頃生まれ、Charley PattonやTommy Johnsonらの1世代後に位置づけられるデルタブルースマン。
Bluebirdというレーベルに1939〜1942年の間在籍し、"Whiskey Head Woman"や"New Shake'Em On Down"等の録音を残しています。
ギター、ボーカル共に荒めの演奏が特徴、特にボーカルはDan Pickettにも通じる不良っぽさがあるなと個人的には感じます。そしてその荒っぽさが何とも格好良い!
晩年はシカゴに在住し、Elmore JamesやLittle Walterのバックを時折務めていたそうですが、貧困とアル中で1962年亡くなりました。
録音はRCAから出ていた2枚組や、Acrobatから出ているRobert Petwayとのカップリング盤などで聴くことが出来ます。

当時Honeyboy Edwardsは鉄屑を売りに行こうと22番通りを歩いていた時にワインをラッパ飲みして泥酔している彼に出会い、自分の家まで連れ帰ったそうです。
"Tommy stayed about three days, drinking wine-I mean DRINKING WINE. Five, six, seven pints a day. He played a little bit with me at night over at Tommy's Lounge. But he was so sick then, just one of them wineheads. He went up in the hospital and next thing I know he had died."

死の直前に立ち会ったHoneyboyのスタイルが、Bluebird時代Tommyの良き相棒だったRobert Petwayのスタイルと若干似ているのも、何かの因縁を感じます。
posted by afroblues at 23:27| Comment(2) | TrackBack(0) | 素晴らしいブルースマン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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